受け身の se  se apassivador
 他動詞文において主語と目的語を入れ替えser動詞をもちいて表現する受動態に対して、伝統的に「受け身のse」を用いて受動態をあらわす方法がある。以下の例 (1), (2) のごとく動詞の目的語を主語と見立ててその数に動詞を一致させるというのが規範である。
  (1) Vende-se casa.
  (2) Vendem-se carros usados.

 いっぽうできわめて人工的なこの規範的規則に反し se を単数の主語不確定とする実例もしばしば目にされる。
  (3) *Se vende carros.

 しかしながら現代の標準的規範という観点からいえば、(3)の例は日常的には頻繁に用いられているとはいえ、いまだ市民権を得たとは言い得ず「誤用」と見なされる。ふたとおりの用法が競合し規範に揺れが生じている過渡期的な様相の好例と言えよう。

            

Copyright© 2011 Shiro Iyanaga All rights reserved.