間接話法 discurso indireto
 話者が第三者の発話を聞き手に伝えるときに用いる文法形式で、伝達者が被伝達者の発話を被伝達者の解釈を経たかたちで伝える方法を言う。たとえば、(1) のような非伝達者の発話がそのまま再現される直接話法に対して (2) では非伝達部が伝達動詞の目的節として述べられる。
 (1) O João disse-me: –– A Maria vai ter com o professor hoje.
 (2) O João disse-me que a Maria ia ter com o professor nesse dia. ジョアンは、マリーアがその日先生に会いに行こうとしていたと私に言った.

 話法の転換の理論によれば、一般論としてhojeはnesse dia に直説法・現在形は直説法・半過去形に変えるというような規則が語られる。しかしながら、これらは原則であり、事情によって適当に変更が必要である。たとえば、(1) の発話時(a)と「マリーアが会いに行く」という状況の生起する時間(b) とが時間的にどのような関係にあるかを伝達者は考える必要に迫られる。a>b ならば (2) で良いが、a<b ならば被伝達部の動詞は(3)にあるように vai ter のまま、副詞 hoje もそのままとせねばならぬこともある。なぜならa<bということは、たとえば朝の9時に(1)が発話されMariaが昼過ぎの13時に出かけるという場合が想定されるからである。
 (3) O João disse-me que a Maria vai ter com o professor hoje. ジョアンは、マリーアが今日先生に会いに行くはずだと私に言った.

 話法は一種の引用であるから、話者の解釈を伝達する方法でもあり、話法の転換は一律に扱いにくい複合的な面がある。

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