語族 família linguística
  親縁関係にある言語群を家族になぞらえていう用語。19世紀に印欧語の資料をもとに発達した比較文法によって、言語の親縁関係を証明する方法が確立し、その適用によって、印欧語族以外にもいくつかの語族の存在が確認されている。セム語族、フィン・ウゴル語族、これにサモイェート語族を加えたウラル語族、マライ・ポリネシア語族、ドラヴィダ語族などのほか、アメリカ・インディアンの話す諸言語にもいくつかの大きな語族が含まれている。
 語族という名称を用いていても、比較文法が完全には成立せず、親族関係に疑問のある言語群もある。また、世界の言語には、バスク語、アイヌ語、日本語などのように語族の所属が明らかではなく孤立しているものが多い。
 なお、語族という概念は、人種とか民族とは全く個別の、言語学的な概念である。また、地理的、歴史的な関係の有無も必要ではない。


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