間接目的語 complemento | objeto indireto, complemento terminativo
 統語的にみた文の構成要素のひとつ。動詞のあらわす意味を補完するために動詞に付加される名詞句が前置詞を介して連結する場合、その前置詞と名詞との連鎖、すなわち前置詞句を間接目的語と言う。ポルトガル語では complemento terminativo という用語も同義で用いられることがある。間接目的語をみちびく前置詞はさまざまである。
 (1) Os dois foram à estação. ふたりは駅に行った.
 (2) Assistimos ontem a um espetáculo 昨日ショーを見た.
 (3) Ele olhou para a televisão. かれはテレビを見た.
 (4) Gosto de laranja. オレンジが好きです.
 (5) O cientista assentou a ideia nas observações objetivas. その科学者は客観的な観察に基づいて理論を打ち立てた.
 (6) O ladrão levou a bolsa a uma turista estrangeira. 泥棒が女性外国人旅行者からハンドバッグを奪った.
 (7) O Jorge informou a Luísa sobre o programa.ジョルジェはルイーザにプログラムを伝えた.

 間接目的語を代名詞化する場合、代名詞・与格形に変化するのは〔前置詞 a+名詞句〕のなかでも限られた場合で上記例では(6)のみ、その他はすべて〔前置詞+主格形〕となる。

 前置詞を介して連結される節は、間接目的節という.
 (8) O Jorge informou a Luísa de que o programa será alterado. ジョルジェはルイーザにプログラムに変更があるだろうと伝えた.

 動詞の意味によってどのような前置詞を伴うかが決まっている。
 (9) Contei com a presença do presidente. 会長の出席を当てにしていた.
 (10) Contei o acontecimento ao João. ジョアンにその出来事を話した.

 間接目的語とされる前置詞句は動詞の意味的な要請によって文全体の意味を補完する。したがって動詞の統合構成要素のひとつである目的語とすべきか、たんなる副詞句とすべきかは動詞の意味による。
 (11) Dei com o ruído estranho na escada. 階段のところで奇妙な音に気づいた。
 この例文では com o ruído estranho は間接目的語、 na escada は場所をあらわす副詞句.


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