言語使用域 registo | registro
 通常、言語は方言とは別に使用される場面等によって、発音、文法、語彙といったあらゆる側面において多様な形をとる。例えば、形式張った場での発言と親しい友人との談話では使用する言語形式に差異が見られる。このように、場面、内容、人間関係、口頭か文書か等の違いによって区別される言葉の変種やその使用域のことを指す。レジスターともいう。

 本来これらは1つの連続体を成しているものであるが、ここでは便宜上3種に分類し、ポルトガル語(PB)の具体例とともにそれぞれの言語使用域の大まかな定義を記すことにする。

(1) 標準規範(norma culta)に則った形式:大都市に住む高等教育を終えた人々(pessoa culta)が改まった場面で用いる形式。registo formal (儀礼体), registo oficial (公務体), registo erudito (学識体), registo cultivado(標準体)がおおよその同義語として用いられる。

(2) 常用規範(norma vernácula)に則った形式:registo familiar(親密体), registo popular(通俗体)がほぼ同義として用いられる。標準規範とは異なるが、教養のある人々の間でも家族や友人などの間で日常的に用いられる口語的な形式。
 例:Não sei(標準体)⇔Não sei nãoやSei não(常用体)
   Vi-o(標準体)⇔Vi ele(常用体)

(3) 常用規範から大幅に逸脱した形式:一般的にregisto vulgar(卑俗体)と呼ばれる。明らかに常用規範から逸脱し、非常にくだけた場においてしか用いられない形式。性数の不一致や動詞の活用の著しい単純化などが挙げられる。
 例:Meus amigos(標準体)⇔Meus amigo(卑俗体)
   Nós devemos(標準体)⇔Nós deve(卑俗体)


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