幹母音 vogal temática
  語基(base)に付与され、語幹(tema)を形成する母音のこと。ポルトガル語の語幹は、動詞(verbo)と名詞(nome)に分類される。動詞の場合、幹母音は-a, -e, -iの3種類で、それぞれ第1、第2、第3活用動詞の標識となっている。



 一方、大半の名詞の幹母音は、表記上-a, -o, -eの3種類であり、幹母音が-aか-oの多くの場合は、性(gênero)の標識となっている。複数の標識は、幹母音の後に付与される。




 動詞の幹母音とは反対に名詞の幹母音は無強勢の母音であるため、mulher, francês, animalのように子音で終わる語や、irmã, café, bambuのように強勢母音や鼻母音で終わる語には幹母音が存在しない(atemático)ものとして扱う。
 しかし、-l, -r, -s, -z等の子音で終わる名詞については、理論上、幹母音-eが存在するものとして解釈することがある。つまり、名詞marでは、*mareという理論上の形式を想定し、それにより、幹母音の存在を説明するのである。複数形ではこの母音は表層に現れるため、幹母音が他でもなく-eであることは明白である。


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