主語、主部 sujeito
 ポルトガル語の文において主題となる部分を主部(sujeito) と呼びそれに関する内容を述べる部分を述部(predicado)と呼ぶ。主部の核になる語を主語(sujeito) と呼ぶ。統語的にみた文の構成要素のひとつ。
 主部として機能する名詞句の構造はさまざまである。人称代名詞など1語の簡潔な形から、〔冠詞+名詞〕、さらには修飾語を伴う〔冠詞+名詞+形容詞〕、修飾節を伴う〔冠詞+名詞+形容詞節〕などに拡張される。
(1) Tu ficas em casa, está bem? お前は家に居るんだよ.
(2) A Maria e a Luísa falam depressa. マリーアとルイーザは早口だ.
(3) O computador que ele comprou ontem funciona bem. 彼が昨日買ったコンピューターは調子良く動いている.
(4) Todos os alunos participaram na | da festa.
 
 それぞれの文で太字で示した主部の主語は核となる名詞であるから (1) Tu. (2) Maria e Luísa, (3) computador, (4) alunos である.
 1人称、2人称の語は人称代名詞しか存在せず、それぞれ eu, nós , tu, vós . 
 述語動詞の人称・数は主語の人称・数に一致する。すなわち主語と動詞の数の一致は主語の数にしたがって動詞の活用形のうちのひとつが選ばれることを意味している。
 主語の人称・数は動詞の形式を決定する重要な要素である。統語的には動詞の前におかれることが多いが、ポルトガル語は比較的主語の位置は自由である。平叙文か疑問文か、あるいは肯定文か否定文かといった文の機能による主語の位置の変更はないが、強調などの文体的要請によって移動することもある。
(1) Você é brasileiro. 君はブラジル人です.
(2) Você é brasileiro? 君はブラジル人ですか.
(3) Você não é brasileiro. 君はブラジル人ではありません.
(4) Tu vais. 君が行くんだね.
(5) Vais tu!? 君が行くんだって!?

 また動詞によっては標準的な主語の位置が動詞の直後という場合もある。

(6) Faltam dois dias para o aniversário dele. 彼の誕生日まであと二日ある.


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