直接目的語 complemento | objeto direto
 動詞支配の観点から伝統的に直接目的語は動詞が前置詞を介さずに動詞がとる要素と定義される. complemento はNGPで用いられ、objeto はNGB で用いられる.
 統語的には代名詞化すると対格形をとることが直接目的語の要件となる.
(1) O João comprou o novo livro dele. ジョアンは彼の新著を買った.

 上記例文(1) のo novo livro dele は動詞 comprar が前置詞を介すことなく直接支配する統語要素であり、規範的には代名詞化すれば対格形をとる.


(2) O João comprou-o. ジョアンはそれを買った.

 一方で規範的には対格形をとる直接目的語がとくにPBの常用口語では一般に主格形をとる. この傾向はPEのくだけた口語においても最近観察される.

(3) O João comprou ele. (PB) ジョアンはそれを買った.

 間接目的語は直接目的語と異なり前置詞を介して動詞が支配する要素で、代名詞化した場合与格形をとるか否かは無関係である.


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