文語 língua escrita
 文字による書いたり、読んだりすることによって成立する言語を言う. 文字言語、書き言葉などとも呼ばれ、ポルトガル語ではたんに escrita, escritura とも言うことがある. 口語 «língua falada» に対する概念. 
 発生的には音声言語である口語が記号体系を得て文語として定着していく。口語では重要な音調、速度、話し手の表情などは文語では伝えられないが、時間、空間を超えた伝達が可能であるため社会的に重要な機能を果たす。それゆえに文語は長い時間固定されることが多く、じっさいの口語とは多くの言語で乖離している. その乖離の程度が甚だしくなると、文語の表記方法の修正が行われるが、多くの場合文語については保守的な力が強く加わるので、変更が困難である。日本語では戦後の現代仮名遣いへの移行により表記が簡略化した。ポルトガル語においても正書法の改正が19世紀末より具体化し100年間を経て正書法の統一に向けた努力が行われて来たことは記憶に新しい.
 文語は口語とは異なり、身振りや表情等の言語外的要素を用いず、まったく言語のみで表現せねばならないいっぽう、時間をかけ十分に推敲することができる利点がある。場合によって散漫になりかねない口語とは異なり、文語によれば無駄なく論理的に内容を表現することが可能である。
 一般的に規範文法は文語を基礎にした諸規則をまとめたものであるから、口語における逸脱が保守的な傾向の強い文語にまで一般化するには長い時間がかかるのが常である.


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