口語 língua falada
  音声によりあらわされる言語. 話し言葉とも言う。ポルトガル語では «língua oral», «língua coloquial», «oralidade», などもほぼ同義で用いられる. 文語、書き言葉 «língua escrita» に対する概念. 口語は文脈をはじめ音調、話す速度、表情などさの付加的な情報によってさまざまな意味を伝えるので、これらが重要な役割を果たすことが多い。日本語のように口語と文語との乖離が甚だしい場合、ポルトガル語の口語を翻訳する場合にこれらの付加的情報が大きな役割を果たすことがある。たとえば、特殊疑問文 (1) は主に音調によって丁寧さの有無を判断出来る.

(1) Qual é o seu nome? 「名前は?」〜「お名前は何とおっしゃいますか」

 また、口語には文語にみられない独特の文法規則が見られる場合もある. たとえばPB常用規範にもとづく口語では平叙文(1), (2)から主語を削除することで命令文(3), (4)が得られる.

(2) Você estuda o livro. 君はその本を調べる.
(3) Você se esquece do acontecimento. 君はその出来事を忘れる.
(4) Estuda o livro. その本を調べなさい.
(5) Se esquece do acontecimento. そのことは忘れなさい.

 その一方で規範的なPB標準規範にもとづく口語および文語では (6), (7)が (2), (3)の命令文とされる.
(6) Estude o livro.
(7) Se esqueça [Esqueça-se] do acontecimento.

 口語文法の特徴は文語文法の規範と比較されて「間違い」とみなされることがあるが、標準規範と常用規範とを分けて記述することが望ましい.

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