関係詞  pronome relativo
 名詞を文で限定、修飾する場合、名詞と文を結び付け関係づける働きをするのが関係代名詞である。日本語の例を挙げると、「父が買った車」のように、「父が買った」という文がそのまま「車」という名詞を修飾することができる。一方、ポルトガル語では、以下の例のように、文(meu pai comprou)と名詞o carroとを関係づける関係詞queが必要となる。

O carro que meu pai comprou 父が買った車

 関係詞が導く文を関係節 (oração relativa) あるいは形容詞節 (oração adjetiva) と言う。関係節が修飾する先行する名詞を先行詞 (antecedente) と言う。意味の観点から、関係節は制限関係節 (oração relativa restritiva) と非制限関係節 (oração relativa explicativa) とに区別される。
 例文のqueのように、関係節の中で代名詞の働きをする関係詞を関係代名詞 (pronome relativo) と呼ぶ。関係詞の中には、関係形容詞(adjetivo relativo)と関係副詞 (advérbio relativo) もある。日本のポルトガル語学では、英文法の用語にならい「関係形容詞」、「関係副詞」という用語が広く用いられており、本小辞典でもこれに従う。しかしながら、ポルトガル語学においてはポルトガル、ブラジルの文法用語集にあるとおり一般に pronome relativo とひとまとまりにして扱う場合が多い。

制限関係節・非制限関係節 oração relativa restritiva / oração relativa não restritiva あるいは oração relativa explicativa.
そこに私たちは去年の夏に滞在した。
例文(1)の関係節では、先行詞の表す意味を関係節によって制限、限定している。

(1)
Os alunos que estudam muito tiram boas notas. たくさん勉強する生徒たちは良い点を取る。

 さまざまな生徒(たくさん勉強する生徒、あまり勉強しない生徒、全く勉強しない生徒等)がいる中で、「たくさん勉強する生徒」という一部の生徒に限定し、意味の範囲を制限している。このような関係節を制限関係節という。
 (2) の例は非制限関係節の例で、「生徒は全員たくさん勉強している」意味を表す。関係節で、先行詞の「生徒たち」に関する追加説明をしている。

(2)
Os alunos, que estudam muito, tiram boas notas. 生徒たちはたくさん勉強しており良い点を取る。


 非制限関係節は、説明を追加する働きがあることから、oração relativa explicativa や oração relativa apositivaという用語も使われる。非制限関係節では、書き言葉ではコンマ(vírgula (,))が追加され、話し言葉ではポーズ(休止)が入る。

関係代名詞 pronome relativo
 関係節の中で代名詞の働きをする。例文(1)では、関係代名詞 que は、代名詞の働きをしている。

(1)
Conheço um aluno que fala português muito bem. 私はポルトガル語を上手に話す生徒を知っている。


 この文は、以下 (2) にある二つの文を、関係代名詞 que を使って一つに結び付けたものに相当する。(1) の関係代名詞 que は、(2) の代名詞 Ele に相当する働きをしている。

(2)
Eu conheço um aluno. 私はある生徒を知っている。 Ele fala português muito bem.彼はとても上手にポルトガル語を話す。


 ポルトガル語の関係代名詞は省略できない。que は代表的な関係代名詞で、先行詞が人の場合でも物の場合でも使用できる。先行詞が人で前置詞を伴う場合には、(3) のように関係代名詞 quem を使用する。

(3)
O senhor com quem falei é advogado. 私が話した男性は弁護士だ。


 «o qual» は主に文語で使用する関係代名詞で、先行詞の性・数に合わせて a qual, os quais, as quais と性数変化がある。

(4) の例文では先行詞が A mãe do Paulo なので、a qual となる。

(4)
A mãe do Paulo, a qual esteve aqui ontem, caiu e quebrou a perna. パウロの母親は、昨日ここに来たのだが、転んで脚を折った。


(4)の例が示すように、o qual の導く節は、先行詞に関する説明を追加する非制限関係節の場合が多い。
 先行詞が tudo, todo 等の場合に使う関係代名詞 quanto も、先行詞の性数に合わせた性数変化がある。

 先行詞は省略される場合もある。

(5)
Naquela época ele tinha (tudo) quanto queria. 当時彼は望むものすべてを手に入れていた。



関係形容詞 adjetivo relativo
 関係節の中で、形容詞の働きをする。関係形容詞 cujo は、所有形容詞の働きをするもので、主に書き言葉で使う。先行詞は人でも物でも使用できる。後続の名詞の性数に合わせて、cuja, cujos, cujas と性数変化する。(1) の例では、後続の名詞が filhos と複数形なので、cujos となる。

(1)
Conversei com uma amiga cujos filhos estudam no exterior. 子どもが留学中の友人と話した。


(2)
Conversei com uma amiga. 友人と話した。 Seus filhos estudam no exterior. 彼女の子どもは留学中だ。


(1)は、(2)にある二つの文を、関係形容詞 cujo を使って一つに結び付けたものに相当する。(1)の関係形容詞 cujos は、(2)の所有形容詞 seus に相当する働きをしている。

関係副詞 advérbio relativo
 関係節の中で、副詞の働きをする。関係副詞 onde を用いる場合は、場所を表す語が先行詞となる。

(1)
Não me lembro do nome do hotel onde ficamos no verão passado. 私たちが去年の夏に滞在したホテルの名前を私は覚えていない。


(2)
Não me lembro do nome do hotel. 私はホテルの名前を覚えていない。 Lá ficamos no verão passado. そこに私たちは去年の夏に滞在した。


(1)の例文は、(2)にある二つの文を、関係副詞 onde を使って一つに結び付けたものに相当する。(1)の関係副詞 onde は、(2)の場所の副詞 Lá に相当する働きをしている。 como は様態や方法を表す関係副詞である。(3)の例文のように、様態や方法を表す名詞(maneira, modo, forma 等)が先行詞となる。

(3)
Surpreendeu-me a maneira como ela resolveu o problema. 彼女が問題を解決した方法に私は驚いた。

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