命令法 modo imperativo
 動詞の叙法のひとつ。直説法、接続法とならぶ。命令法は定義的にそれぞれの動詞に2人称単数、複数の2形式のみ認められる。それぞれ直説法・現在・2人称単数形、複数形の末尾の-sを削除して得られる。
 falar:直説法・現在形(2.sg.:falas, 2.pl.:falais)
   =>命令法(2.sg.:fala, 2.pl.:falai)

 意味的に命令法では生起しにくい種類の動詞もある。例えば falir (倒産する)などはその好例であろう。
 falir:直説法・現在形(2.sg.:fales, 2.pl.:falis)
   =>命令法(2.sg.:fale, 2.pl.:fali)

 また対称詞が文法的に3人称の語である場合(você, o senhor, a senhora, etc.) は命令に接続法を用いるのが標準的な規範である。

 ■Tuに対して:
(1) Fala mais devagar.もっとゆっくり話してくれ.

 ■O senhorに対して:
(2) Fale mais devagar.もっとゆっくり話してください.

 こうした命令法と接続法が混在する伝統的な命令文の規範を見直し、より合理的な実際の言語使用に即した「命令法」も近年提案されている。その活用表は以下のような矛盾のない活用表となっている。このように命令法という叙法を定義することで、「命令法に接続法を用いる」という規則が不要になる。否定命令も考慮に入れた表2の体系が、合理的である。

1.

2.


1.«adaptar» In Infopédia [Em linha]. Porto: Porto Editora, 2003-2013. [Consult. 2021-12-01].Disponível na www: <URL: http://www.infopedia.pt/verbos-portugueses/adaptar
2.adaptar In VOP. In Portal da língua portuguesa. ILTEC. 2013 [Consult. 2021-12-01]. http://www.portaldalinguaportuguesa.org/index.php?action=lemma&lemma=6561
いずれの表にも読者の理解のため、筆者が若干の修正を加えた。

なおPBの常用規範における命令については「命令文」の項目を参照。


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