人称不定詞 infinitivo pessoal
 人称不定詞には infinitivo pessoal のほか infinitivo flexionado, infinitivo conjugado の名称がもちいられることもある。また不定法という叙法(modo)を認める立場もあるが、動詞の形式的範疇とするほうが望ましい.
 人称によって異なる形式をもつ不定詞。不定詞に以下の活用語尾を加える(− は何も付加しないことを意味する)。どの動詞にも例外なく以下の活用語尾を付加する。
  −, -es, −, -mos, -des, -em.

 規則動詞の人称不定詞の活用は接続法・未来形の活用と重複するが、接続法・未来形は直説法・過去形の語幹から派生するので、不規則動詞ではこの重複がおこらない。
 人称不定詞をもちいることで不定詞の主語が明確になり文の意味が明瞭となる。
  (1) É importante perceberes melhor a situação.
  (2) Vi os amigos da turma conversarem.

 また動詞句で語彙的意味を担う主動詞は非人称不定詞である。
  (3) Começaram a comer.
  (4) Deixei passar os carros.

 いっぽう歴史的には、主格形の主語をともなう人称表示不定詞(infinitivo pessoal) ともいうべき種類の不定詞はロマンス語には珍しくなかったという。イベリア半島の北西でなぜ人称変化する不定詞(infinitivo flexionado)が全ての人称に固有の形式をもつところまで発展したかは不明であるが、ポルトガル語はガリシア語とならび体系的な人称不定詞をもつ稀な言語となったと言われている(Maurer, 1968, p.70)。
 非人称不定詞(infinitivo impessoal, infinitivo não flexionado)を参照。


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