直説法、接続法とならぶ叙法のひとつとしてポルトガル文法用語一覧表(NGP)にある用語。日本ではブラジル文法用語一覧表(NGB)にしたがって Futuro do pretérito do Indicativo すなわち、
直説法・過去未来形、直説法・複合過去未来形として直説法の時称のひとつとして扱われるのが普通である。本小辞典においてもその立場をとる。条件文の帰結節に表れる時称である。
(1) Se eu tivesse dinheiro comigo,
compraria este livro. もしいま持ち合わせがあればこの本を買うのだが(お金がないので買わない)。
この用法は現代ポルトガル語ではPE, PBの別を問わずほぼ直説法・半過去形に置き換わっている。しかしPBでは標準的には過去未来形が好まれる傾向がある。
もうひとつの主要な用法としては過去のある時点を視点としてそのあとに実現するはずの状況を記述する。
(2) Eu estava sentado à mesa. Já tinha passado a hora marcada. Mas a Maria
viria. 私はテーブルについていた。すでに約束の時間は過ぎていた。がマリーアは来るはずだった。
問題の形式は過去を視点とする来るべき状況の記述をあらわす機能が頻度的にも優勢なわけであるから、叙法としては直説法の時称のひとつとし日本語の用語を「過去未来形」とするのがより合理的と言えよう。