与格形 dativo, forma dativa
 動作・行為の受け手をあらわす間接目的語(complemento /objeto indireto)【前置詞 «a»+名詞】は代名詞化したときに一般に与格形をとる。

(1) A Maria ofereceu um disco ao amigo. マリーアは友人にディスクをあげた.

 上記の文における間接目的語 «ao amigo» を代名詞で置き換える場合は «lhe» となり、基本的に動詞の前接辞として (2) のように実現する.

(2) A Maria ofereceu-lhe um disco. マリーアは彼にディスクを1枚あげた.

 与格形は人称によって以下の形式があるが、3人称以外は対格形と同形である. また3人称・対格形では性の区別があるが3人称・与格形では性の区別は見られない.

1人称単数
me
1人称複数
nos
2人称単数
te
2人称複数
vos
3人称単数
lhe
3人称複数
lhes

 与格形は単に動作の受け手だけでなくいわゆる「所有の与格」「利害の与格」という用法もある(1). また【前置詞 «a»+名詞】が与格形をとるかどうかは動詞の支配の類型による。与格形をとらない有名な例は 【assistir a + 名詞】である。たとえば、(3) の【前置詞 «a»+名詞】を代名詞化すると (4) となる。

(3) O Paulo assistiu a um espetáculo. パウロはあるショーを見た.
(4) O Paulo assistiu a ele. パウロはそれを見た.


(1)彌永史郎 (2011) ポルトガル語四週間 大学書林 p.136-141.

Copyright © 2014 Shiro Iyanaga All rights reserved.