複文(período complexo)の一種。条件節(oração condicional)と帰結節(apódose)から構成される。統語的に見れば、条件節は
副詞的従属節(oração subordinada adverbial)で帰結節は主節(oração principal)である。
(1) 因果関係を示す条件節と帰結節
どちらの節においても動詞は直説法を用いて表現する。話者は条件説で述べることがらの真偽について知識がなく、たんに因果関係の前提として述べる場合。
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Se choveu ontem no interior, não compreendo porque é que as águas do rio estão tão claras. 昨日内陸で雨が降ったとすると、なぜ川の水がこんなに奇麗なのか解せない。 |
【解説】昨日雨が降ったかどうかについて、話者は知らないが、仮に雨が降ったとすると川の水に濁りのないことが説明出来ないという、因果関係に関する意見を述べている。
(2) 現在の事実に反する仮定と帰結
条件節の動詞は
接続法・半過去形、帰結節の動詞は規範的には
直説法・過去未来形、
直説法・半過去形におく。
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Se ela falasse agora a verdade, a situação ficaria/ficava complicada. もし今 彼女が本当のことを話したら、事情は込み入ったことになるだろう。 |
【解説】話者は彼女が真実を語ることはないと知っているが、もしそういうことになればどういうことになりうるかという可能性を述べている。
(3) 過去の事実に反する仮定と帰結
条件節の動詞は
接続法・大過去形、帰結節の動詞は規範的には直説法・複合過去未来形、
直説法・半過去形におく。
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Se eu tivesse tido ontem o dinheiro suficiente comigo, teria comprado o livro. きのう十分な金の持ち合わせがあったら、その本を買ったのだが. |
【解説】昨日はお金がなくて買えなかったということを述べている。
(4) 未来の事実に反する仮定と帰結
条件節の動詞は
接続法・未来形、帰結節の動詞は規範的には
直説法・未来形におく。帰結節の時称はその他さまざまな可能性がある。
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Se chegarmos meia hora antes do primeiro tempo, vamos tomar café na cantina. もしも一時間目の30分前に到着できたら食堂でコーヒーを飲もう. |
【解説】未来の状況はすべて不確実であるが、ある状況が可能になった場合の希望が述べられている。帰結節は、例のような一種の希望をはじめさまざまな可能性があるので、帰結節の動詞の形式も様々な可能性がある
(*)。
(*) 詳しくは彌永史郎 (2011)『ポルトガル語四週間』 大学書林 p.452-457